【感想】空を覆い尽くすほど巨大な宇宙船『幼年期の終り』

突如空を覆い尽くすような巨大な円板型の宇宙船が世界の首都上空に現れた。 姿は見せないがその宇宙船から地球人類に呼びかける声があった。 すぐに上空に飛来した巨大な宇宙船は地球上の武力ではまったく歯が立たないことが わかった。人類は彼らを「上帝」オーバーロードと呼ぶようになる。上帝を代表する 「カレルレン」という人物が戦争や差別の撤廃、地球連邦を結成など働きかけていく。 カレルレンの目的は何か。圧倒的なテクノロジーをもつ高度な生物の管理下にあり人類はどうなっていくのだろうか。

著者:アーサー・C・クラーク

翻訳: 福島 正実

メディア:ドラマ化

幼年期の終り』のここがポイント

地球外知的生命体との遭遇

映画「インディペンデンス・デイ」の冒頭と同じく、圧倒的に巨大な円盤が首都へ現れる。 こんなはじまりを1950年代にすでに描いている。当時はそうとう衝撃的だったと思う。 そして人類は知的生命体に出会うとどのような反応も描かれている。 もちろん戦うことを選択する人たちもいる。果たして圧倒的な科学力をもつ地球外知的生命体と人類はその後どうなるだろうか。

姿を見せないカレルレン

地球外知的生命体は地球人類に語りかける。差別や戦争をやめるように。そして上帝(オーバーロード)とよばれるようになる。上帝の代表者カレルレンは政治に干渉していく。ときに反対勢力に対して謎の力で圧倒しながらもおしすすめる。 たとえば、太陽を隠してしまうといったことだ。理屈も仕組みもわからないがとにかく反対派の地域だけ太陽がなくなってしまったのだ。もう逆らう気力がなくなってしまうほどの実力差をみせつける上帝。それでも反発する人たちは無くならない。理由のひとつに、どれだけ高尚なことを言っても代表であるカレルレンが決して姿を見せないからだ。そのような姿勢のカレルレンに対して信頼しきれないのは仕方がないこと。なぜカレルレンはかたくなに姿を見せないのだろうか。

数十年単位の話

この小説は大きく3部にわかれている。第1部は人類と知的生命体との遭遇を描き、 そして第2部、第3部と続く。それこそ数十年単位で物語は進んでいく。 人類は上帝と接触したことでどのような道をたどっていくのでしょうか。

おわりに

1953年に発表された本作。アーサー・C・クラークの代表作であり、 SF小説の傑作といわれる。 今読んでも色あせることはなく、いくつかの謎によってグイグイと読ませる作品だ。 まだ読んでいない人は是非手にとって見てほしい。おすすめ。