【感想】愛猫ピートとともに『夏への扉』を探し続けよう
猫のピートは冬にになると「夏への扉」を探す。家中のドアをあけるのだ。 そのうちのひとつが「夏への扉」と信じている。 恋人に裏切られ、自身の発明も奪われ会社を追い出されたぼくは、猫のピートと 同じく「夏への扉」を探している。 そんなときに「冷凍催眠保険」の会社の扉を叩くことにした。
著者:ロバート A ハインライン
翻訳: 福島 正実
『夏への扉』のここがポイント
1970年という未来の世界
1956年に描かれたSF作品で1970年という未来の世界が描かれている。 しかし、そこにいる人は1950年代も70年代も変わらない。 悪い奴はいて、騙される人もいる。作中にダンを助けるサットン夫婦が地味に 良い味をだしている。もちろん、ある日突然誰か降ってきたらその時は迷わず助けようと思う。
あと、冷凍催眠装置を使うことでさらなる未来へ行くことができる。物語の中では30年後の2000年だ。未来の物語からさらに未来へいっても2000年というのは不思議な感覚。2000年はそこまですごい世の中ではなかったよと思いながら読める。ちょっとしたタイムトラベラー気分だ。
猫のピートとぼく
猫のピートと主人公のダンとのかけあいがおもしろい。 誤解を恐れずにいうと漫画的なノリがあって 1950年代の作品というのを忘れてしまいそうになる。 こういったかけあいは好きだ。
あきらめない気持ち
物語の前半にダンはひどい目に会う。しかし、どんな困難な状況でも前向きに諦めない。そしていくつかの矛盾点、つじつまのあわない点を見つけたダンは調査を開始していく。次第に自分のなすべきことを見つけると行動にうつしていくのだ。そうなってくると物語は一気に加速し爽快な結末へ突き進む。
おわりに
すでに書いているが、1950年代の作品というのを忘れてしまうほど楽しく読めたし、壮快だった。ダンのあきらめない気持ちも素晴らしい。上手くいかないことがあっても、なんとかなると思わせてくれるそんな作品。もう一度言うけど誰か降ってきたら……