【感想】バスで起きた銃乱射事件!警察小説の金字塔『笑う警官』

マルティン・ベックと同僚のコルベリはチェスをしていた。雨の夜。外では デモ隊と警官らが衝突していた。同じころストックホルム2階建てバスで 8人が銃殺される事件がおこっていた。被害者には刑事が一人いた。彼はなぜバスにのっていたのか。非番の彼はなぜ銃をもっていたのか。命をとりとめた被害者も謎の言葉を残して亡くなった。手がかりがほとんどないままベックだちの捜査がはじまる。

著者:ペール・ヴァールー,マイ・シューヴァル

翻訳:柳沢 由実子

『笑う警官 刑事マルティン・ベック』のここがポイント

ダメ警官二人組

クリスチャンソンとクヴァントというパトロール警官が序盤に登場するのだが、良い感じにダメだ。 市民を護るべき警察官だが、残りの勤務時間をどうやって潰すかを考えて、パトロールルートを 車の通らない道にした。彼らの引き寄せの力によるのか、バスでの大量殺人の発見者になってしまう。 彼らは本当に残念な感じだけど、公共のサービスの質を垣間見せてくれる。 そしてちょっと可哀想な二人を温かく見守ってほしい。

方言とか訛りとか

エイナール・ルンという捜査官が登場する。彼はスウェーデン北部の小さな自治体アリエピローグの出身で 訛りがあり、ゆっくりと話す。「そうさなあ、あることはあるさ。」 なんだか暗い話が続いても彼が登場すると和む。

夫婦関係

様々な夫婦が登場する冷めきった関係もあれば、情熱的な夫婦もいる。 特にコルベリ夫婦が良い感じなので、参考にしてほしい。いろいろと。

おわりに

スウェーデンの警察小説の金字塔と言われている本作人を読むことができて 幸せだ。1972年に英語版を日本語に翻訳し出版されたが、2014年にはスウェーデン語から 日本語に翻訳して出版された。 そしてなんとこのあとも『刑事マルティン・ベック』シリーズは全10作品を順次スウェーデン語から直接日本語へ翻訳し発売される予定だ。現在第一作にあたる「ロセアンナ」、第二作「煙に消えた男」が新訳版が発売されている