【感想】『氷姫』カミラ・レックバリのエリカ&パトリック事件簿シリーズ!北欧ミステリー期待の新星

スウェーデンで『ミレニアム』を超える大ヒットなった本作。 エリカ&パトリック事件簿シリーズは4作でスウェーデンで合計400万部の記録をだしている。 現在もシリーズは続いおり、日本では8作が翻訳されている。北欧ミステリーはこれからも注目していこう。

著者:カミラ レックバリ

翻訳:原 邦史朗

メディア:『氷姫』ドラマ化、映画化決定

あらすじ

海辺の古い邸で凍った美しい女の全裸死体が見つかり、小さな町を震撼させた。被害者が少女時代の親友でもあった作家エリカは、幼馴染の刑事パトリックと共に捜査に関わることに。20年以上疎遠だった親友の半生を辿ると、恐るべき素顔が覗く。画家、漁師、富豪…町の複雑な人間模様と風土に封印された衝撃の過去が次々明らかになり、更に驚愕の…。戦慄と哀歓。北欧ミステリの新星、登場。

とにかく寒い、暗いだけではない!

舞台がスウェーデンということもあり、凍えそうな描写や天気も終始悪い感じなのだが、こまめにクスッとなる場面を いれてくるところが嬉しい。そこで良い意味で休憩し、また、事件の確信へ勇気をもって進んでいける。とくに警察署内でパトリックを弟のように思っている同僚とのやりとりがお気に入り。個性の強い所長も今となっては良い思い出。

思いを丁寧に書いている

エリカは都会で作家として働く女性。地方の小さな町へ帰省したところ、そこに暮らす女性との 間にはいろいろと複雑な感情が生まれてくる。妹との関係、かつての恋人の妻との関係、 そして被害者である親友との関係もそうだ。女性の作家ならではの丁寧な気持ちの描写がより感情移入させてくれる。

まとめ

恋愛小説のような要素もあり、コミカルな場面もあり、凍えるような場面もあるが、 最後には陰鬱な事件に隠された真実が明かされて驚かされる。 楽しい幸せな描写 あるけれど、事件自体は重たいというバランスをとった本作は 謎解き以外にも楽しい要素があり、暗い話ばかりだと辛いかもという人にもお勧めしたい。 また、本作は既に映画化も決まっているので、劇場公開までに是非原作の『氷姫』を手に取ってみよう。